インプラントは最終手段!安易に考えてはいけない!

インプラントは、歯茎に穴を開けて金属製の土台を埋め込み、そのうえに人口の歯を取り付けるという歯科治療の一種です。
このような抜歯などで失った歯を他のもので代用するという治療法は古代ローマの時代から行われていたことが遺跡からも判明していますが、金属アレルギーや感染症の問題が大きな壁として立ちはだかっていたために広い範囲に普及することはありませんでした。
しかし、20世紀に入って以降に臨床による研究が進められた結果、1960年代にチタンと骨とは結合性が高く、アレルギーの心配がないということが発見されました。
動物実験を繰り返し行っても問題がなかったために、遂にインプラントは夢の治療法として世界中で実施されるようになります。
ちなみに、日本で普及し始めたのは1980年代のことです。
厚生労働省の調査によると、それから30年が経過した2012年時点での15歳以上のインプラント人口は約300万人に達することが判明しています。
特に、60歳~69歳にかけての人の割合が高くなっており、この年代に限定すると全体の約5%の口の中に1本以上のインプラントが入っています。
なお、インプラントの最大のメリットは、土台がしっかりしているので食べ物を思いっきり噛みしめることが出来るということです。
このように自然な見た目と噛み心地を実感できるということが入れ歯や差し歯との決定的な違いであり、夢の治療法と呼ばれている所以です。
また、施術が完了して以降は原則としてメンテナンスは不要で、半永久的に使用できるということも利点として挙げられています。
一方、インプラントのデメリットは治療期間に時間がかかるという点が一番の問題です。
これは、歯茎に埋め込んだチタン製の合金が骨と結合するまで待たなくてはならないからで、全ての施術を完了するまでに1年以上がかかってしまうというケースも起こり得ます。
この間は日常生活に大きな支障をきたしてしまうので、場合によってはメリットよりもデメリットの方が大きいと感じてしまうかもしれません。
さらに、インプラントは一部を除いては健康保険が適用されない自由診療に分類されているので、費用は全額自己負担となります。
つまり、経済面での負担が大きいということで、安易に手術を受けることを決定するのは適当ではありません。
このように、事故や病気、抜歯などによりなくしてしまった歯を取り戻す方法として高く評価されているインプラントにもいくつかの問題はあるので、慎重な比較検討が必要となります。